大野修一のみらい人事ブログ

求人・人事・組織についてニュースネタを元に綴ります。

介護事業のギモン 〜だから人材が定着しない〜!

最近仕事上、必要なので介護業界について調べています。

様々な見通しがあるようですが、 2025年に介護人材の需給ギャップは約37万7000人(全国合計)生じるとのこと。


人材確保のため(一応)国を挙げた取り組みが始まっています。


家族の介護・看護を理由に転職・離職する人が年間10万人もいるそうです。

安倍政権は「介護離職ゼロ」を掲げました。


これを受けて介護人材の確保、育成、生産性向上が謳われていますが、「これなら解決できる!」という期待が持てる対策が出ているとは言い難いです。


介護人材の確保が難しい原因として、低賃金、仕事の過酷さが挙げられますが、より根深い問題が横たわっているように思います。


それは介護事業が抱える深刻な「矛盾」だと考えます。


介護度を改善すると、施設が貰える報酬が減るということです。


介護度が重ければ、受けられるサービスの幅が大きく、事業運営者(施設)が得られる介護報酬も大きくなりますが、介護度が改善できればその逆となります。

端的に言うと売上や利益が減る可能性が高い。

 

高いモチベーションを持って介護の仕事に携わっている人が、介護者に対してリハビリなどを通じて懸命に尽くし、状況が改善された!

とても喜ばしいことなのに、儲からなくなってしまう…


こんなことで介護の仕事は「やりがい」や「社会的使命」がある!なんて言えるでしょうか。


実際、介護度が改善しないように、介護者を野ざらし、放置している現状もあるようです。


川崎市品川区滋賀県など、一部の地方自治体が介護度改善された場合のインセンティブ制度を導入しているようです。


今月23日には神奈川県議会でも補正予算が組まれ、介護度改善に対しての奨励金支払いが決定されました。


黒岩知事は「頑張った事業所が報われ、介護サービスの質の向上に繋がる制度にした。」とコメント。


当然のように思えることが、英断のように聞こえてしまうことに、やはり私は介護業界の深刻な「矛盾」を感じずにはいられません。


・参考記事

要介護度改善に奨励金 人材育成なども評価 県補正予算案

東京新聞/2016.05.23)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201605/CK2016052402000169.html