大野修一のみらい人事ブログ

求人・人事・組織についてニュースネタを元に綴ります。

いのちの電話の相談員不足

いのちの電話をご存知でしょうか。


悩みや不安を抱える人からの相談に無料で応じる団体を指します。


1953年にイギリスロンドンの聖公会司祭チャド・ヴァラーが始めた電話相談に端を発するとされています。


日本においては1971年にドイツ人宣教師のルツ・ヘットカンプが始めました。


11月22日の読売新聞のネット記事で、いのちの電話の相談員が不足していることが取り上げられ、様々な意見がネットで出ているようです。


記事によれば、相談員の中心を占めてきた団塊世代が退くことで不足に拍車がかかっているとのこと。


「日本いのちの電話連盟」によれば2011年には7355名が活動していたが、2015年には6538人と1割減少。


相談件数も5万件程度減っていることは救いですが、景気を考えると妥当ではないかと思います。


それでもひっきりなしに電話はかかってくるということです。


ツイッターなどで拡散されている意見は相談員の地位待遇が悪すぎるという指摘が多いです。


資格取得に3.4万円かかり、無報酬、交通費も出ない、地域によっては24時間ローテーション…


これでは増えようがないという意見でした。

私も同感ですが、これはビジネスなのか、慈善であるべきなのか。


相談員として活躍されているかは慈善の精神が強いのではないでしょうか。活動のきっかけも宗教に携わる人々でした。


相談員の方々に対しては報酬よりも、地域の方々の善意、寄付という形で支えるのが望ましいと思いました。


相談員の不足解消は、地域の善意の不足、地域の連帯の不足を解決することが近道なのかもしれません。


おしまいに、この記事を読んで今年5月にプロフェッショナル仕事の流儀で放映された、秋田の相談員の方を思い出しました。


秋田は悲しいことに長らく自殺率ワースト1位でした。しかし相談員の佐藤さんのご尽力で10年で半減。


それでも番組内では救えなかった人のことにも言及され、痛切な表情をされていたように記憶しています。


佐藤さんのプロフェッショナルとは。


「人がやらないことでもね、やれると信じてね 懸命に、頑張り通す。己を信じて、どこまで前進する人じゃないですか」


活動15年、4000件を超える相談に乗ってきた佐藤さんの言葉は重く、ビジネスにおいても大切だなと思います。