大野修一のみらい人事ブログ

求人・人事・組織についてニュースネタを元に綴ります。

雇用の2018年問題

2018年問題でググると最もポピュラーなのは18歳人口が減少することに伴う、大学倒産時代の幕開けです。


他にも不動産など様々ありますが、雇用の面では間違いなくエポックメイキングな一年になるはずです。


それが、「無期契約社員」の発生です。


労働契約法の改正に伴い、有期労働契約が反復更新され、通算5年を越える場合に労働者の申し入れにより(←ここも重要なポイントです、後述)、無期限の契約に企業側は応じることが義務化されました。


その第一群が2018年4月に発生します。


無期契約社員と正社員は何が違うの?ということですが、企業側に今回義務付けられたのはあくまで有期労働契約を無期労働契約に置換すべし!というものです。


従って企業側は「無期契約社員」をいわゆる「正社員」とは異なる給与水準にしたとしても法律には抵触しないと思います。


また、最近は同一労働同一賃金の推進や、ホワイトカラーエグゼンプション推進の動きもあり、企業側が正社員への賃金を削減し、有期雇用者の無期雇用転換で生じる人件費増加分を吸収し、影響を軽微にしようとする狙いも垣間見えます。


一見、労働契約法改正は画期的に見えますが、企業側の収益を低下させないようにしようとバランスを取る動きは透けています。


さらに労働者側は、通算5年経過しても自ら名乗りでなければ無期雇用への道は拓かれません。


弱い立場にある有期契約の労働者が企業側へ名乗り上げることができるでしょうか。

名乗り上げたとしてもいくつかの面接、面談の中で逆に説得、丸め込まれてしまう懸念もあります。

これは会社によると思いますが…


契約期間の有期、無期の差は大きいと思います。安定した働き方の追求という点では非正規雇用の増加は解決すべき問題でしょう。


しかし無期だとしても低賃金であり続けては根本的解決にはならないと思います。


より巨視的な視点で日本経済の持続成長性を如何に担保するか、確たるものにするか、はたまた違う第三の道があるか、という問いが大きく横たわっているように思えてなりません。



福島5年ぶりに求人倍率が全国平均を下回る

東日本大震災から5年が過ぎ、震災復興の需要もピークを過ぎてきたことを裏付ける報道です。


福島民友さんの記事より、8月の県内有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍。全国平均は1.37倍。

2011年8月以来、実に5年振りのことでした。


これまで福島は震災復興の中でも、特に原発事故に関連する仕事が多く、原発内の作業スタッフや、除染作業員などの募集が多かったように思います。

実際、太平洋側のいわゆる浜通りに限定した求人倍率は未曾有の高さになります。


雇用統計上からも落ち着きを取り戻しつつあることは非常に喜ばしいことなのですが、これまで復興特需の恩恵を受けてきた地元の飲食や販売サービス業は一気に売上が落ちることも想定されます。


元に戻るだけだから、ということはあるかもしれませんが、5年も続いてしまっているということや、地元で暮らす人も震災前と比較してもだいぶ落ちているはずです。


震災復興特需というのは早期に終わることが

望ましいとは思いますが、復興後の被災地の発展や人々の暮らしの在り方についても行政と民間で協力しながら進めて欲しいと思います。

鈍い大手企業の最賃対応

今日は久々の甲府で、販売パートナー企業の若手と飲み。


お気に入りの創業60年を迎えた丸八焼鳥店で東京の焼鳥店ではなかなか食べられない親鶏を頂く。

歯ごたえあり、嚙みしめる程に味があり。

変わらぬ美味しさに感謝。


世間では東京都の豊洲の盛り土問題が喧しいですね。

盛り土がされていないことで怒りは盛り上がり、犯人が特定できず、さらに怒りが盛り上がり…

大衆の怒りの盛り土だけは際限を知りません。


都の杜撰が招いている今回の件。

私たち求人業界は10月1日に改定された最低賃金を巡って右往左往としております。


意外なことに大手企業が発効日を超えても最低賃金UPの対応ができていないことも多く、ある種のカオスになっています。


最低賃金最低賃金法という法律で定められていますので発効日以降、最低賃金を割っている給与が表示されている求人案件を求人メディアは掲載することができません。


メディア側の責任が問われてしまうことは勿論ありますが、広告主たるお客さまがコンプライアンス違反となり、倫理性を問われてしまうことになります。


今回の改定では、残念なことに大手企業の動きが遅く、倫理規範についても私は首を傾げてしまうことが多かったです。


「うちみたいな(大)企業が最賃違反なんてすることなんてある訳ないじゃないか。」


というのがご担当者の言い分、本音なのでしょうが、違反は違反です。


労使という関係で言えば、使役をする経営者側は、現在の日本経済の状況を踏まえると人件費が上昇することは避けたいことはわかります。


大企業がこぞって献金をする政権与党の自民党が最賃上昇を掲げている以上、この決定は避けきれないことですし、決まったことには法人の社会的責任として粛々とかつ早期に従うべきだと思います。






ぱるるがバイトルの記者会見で卒業を発表した理由

昨日はAKBのぱるる卒業発表されましたね。


しかもバイトルバイトルNEXTの新CM発表の場でした。


司会は徳光さんでしたね。

驚きました。


LINELIVEでの生中継では30万人弱が視聴していたのではないかと思われ、渋谷のビジョンもジャックし、号外まで配られていました。


「なんでバイトルで発表すんねん!」という声に少しお答えをしたいと思います。


実は9月のバイトルのCMが伏線になっていました。

カフェ?のアルバイトに扮したぱるるが辞めることを決意して、それを「卒業」とぱるるが宮脇さんに話す内容となっていました。


また今回のバイトルNEXTというメディアはアルバイトから社員を目指す方がターゲット。

夢に向かって次を目指す、ぱるるの決断と

重なるということが今回の演出の裏にあったと思います。


新CMもギャラリーに追加されています。

是非チェックをしてみてください!

http://campaign.baitoru.com




改めて「第二新卒」について

ジャイアンツファンながら、横浜に転居したこともあり、ベイスターズに乗り換えようとしているノンポリな私です。


ハマの番長三浦大輔が昨日引退しました。

1991年のドラフト。まだ横浜大洋ホエールズでしたから、物凄いことです。

私のスーファミファミスタ3にもいたはずです。野村とか佐々木と並んで…


自分の子供の頃のスターが次々と引退していくのは寂しく、自分の加齢を感じずにはいられません(笑)


今日は「第二新卒」について。

この言葉、いつ頃から社会的に認知、ていちしたのかググっても出てこないんですね。


恐らくはバブル崩壊後、1990年代後半からなのではいでしょうか。

間違っていれば是非ご教授下さい!


一言でいうと「時代」が創り出した言葉。

つまり将来の見通しが暗くなり、多くの有名企業が破綻し、生き残った企業もデフレ下で低賃金労働をベースに業績や利益を確保せざるを得なくなった「時代」。


一方で、入社三年以内の早期離職は昔から一定程度は存在しているというデータがあります。


つまり、「第二新卒」という言葉は「時代」が創り出しましたが、早期離職の割合は昭和に遡っても一定数あるということです。

割合の変動についてはズバリ「景気」と言えそうです。


なので、安易に「最近の若者は〜」とは言わないようにしましょう(笑)


さて、この「第二新卒」についてR25などに記事を寄せられている有井太郎さんというフリーランスのライターの方がDIAMONDonlineに「第二新卒を採った人事担当者が語る『がっかりエピソード』」というタイトルで記事を書かれています。


思わず笑ったり、引いてしまったり、無茶苦茶で驚きのエピソードが多く、やや第二新卒の採用については批判的なスタンスではあります。


私自身はフリーター上がりなので、批判的なスタンスはあまり受容できませんが、一般論として早期離職する人は忍耐力や協調性の欠如、精神的未成熟さが背景にある場合が多く、採用する際にも特段の注意が必要だと思います。


第二新卒は、このブログでも繰り返し主張していますが、やはり新卒一括採用、就活が産みだすミスマッチが根底にあると思います。


第二新卒採用はだいぶ定着している感もありますが、企業採用担当者には意訳ある若者にチャンスを、チャレンジの機会を与えて欲しい、門戸を広げて欲しいです。





昇給よりも昇格を意識せよ!それが出世の早道だ!

先日、名古屋本社の株式会社ネクステージさんが新卒採用選考にBBQを導入したと記事を書きましたが、今回はなんと滋賀県長浜市にある市立長浜病院がBBQ選考を実施するとのことでした。


公立病院がBBQ!!

これは驚きですね。


さて、今日は「昇給より昇格を!」という、データも豊富に論旨が展開される面白い記事を見つけました。


大阪市参与で、アクセンチュア日本総研で活躍し、人事関連の著作もある平康氏の「出世ナビ」の連載の記事です。


「出世ナビ」というのも初めて知りましたが、面白いですね〜!


平康氏は1998年以降、右肩上がりの成長ができなくなった日本において定期昇給の仕組みが崩れ、現在に至る年収低下を招いていることをデータで指摘。


特にバブル時代は企業が所有する不動産の含み益で、昇給原資を確保していたが、バブル崩壊とともに原資を確保することができなくなったとのことです。


現在はどんなに目の前の人事評価で成果を上げても平均月1万円程度の昇給に留まるとしています。

※全国平均の昇給額は5000円です。


これを以って平康氏は賞与含めても年収ベースで15万程度とし、長年の人事コンサルの経験から一般職から管理職になることで年収100万円上がるような設計をしている企業が多いことを挙げ、昇給よりも昇格を強く意識するべきだと述べています。


翻って私も部下の評価をする立場にありますが、評価面談をしていても、若手からは「昇格は意識しない。少なからず昇給があれば…」という主張を耳にします。


仕事の責任が広がることを避け、自分の得意な領域で安全に仕事をしたいという志向を持つ人が全体的に増えているのではないかと思います。


しかし平康氏の主張を敷衍すれば、将来に渡る自らの稼ぐ力を放棄することを意味し、結婚、出産、育児ひいては自らの老後にまで大きな影響を及ぼしかねません。


平康氏は結びとして、出世の早道としてはなるべく早いタイミングで意識を引き上げ、上司やそのまた上司の仕事にふさわしい行動が取れるかどうか意識すべしと説いています。


一方、私はマネジャーの仕事として、部下の意識が自発的に引き上がるように支援をすること、常に出世したときに何を為すべきかを考えさせることを意識させることが人材育成の観点でとても重要だと考えています。



終身雇用支持!過去最高の数字

独立行政法人労働政策研究・研修機構が1999年から実施している調査において、「終身雇用をどう思うか」という質問に「良いことだと思う」と答えた割合が過去最高の87.9%だったことがわかりました。

年功賃金についても76.3%が支持、という結果でした。


いずれの項目も20.30代で割合が上昇しているとのことで、同法人は「終身雇用制度にほころびが出ているなか、将来への不安を抱える若者が増えている」としています。


同法人のHPを見ましたが、過去の数値を拾うことができませんでした。

終身雇用への支持が過去最高ということですが、これまでとそんなに変わらないのではないか、と少し疑っています。


労働者の立場では、終身雇用制度はできれば維持してもらいたいと思うのが本音ではないでしょうか。

YES-NOで答えさせる問いは如何なものかとは思います。


いずれにしても終身雇用制度や年功賃金は多くの企業で死に絶えています。


企業は生き残りを図るために、ローパフォーマーに辞めて貰って組織の代謝を図るかに腐心しています。

人材の「イグジットマネジメント」、つまり厳しい日本の解雇規制の中で人材をいかに入れ替えることができるか。ぶら下がり社員に対しての警戒感を強めてきています。


一方、労働者側に立てば「エンプロイヤビリティ」、つまり雇用される能力をいかに高めていくかが問われます。

会社の支援、または個人の責任下での能力開発が一層求められるでしょう。


終身雇用や年功賃金という古き良き日本の雇用慣行に憧憬の眼差しを送りたい気持ちはわかりますし、私もその一人です。

しかし時代は大きく変化しています。変化に対応できなければ、(ダーウィンではありませんが)、自滅してしまうこともあるでしょう。